おい、そこでスマホを眺めてニヤついているお前だ。
画面の中の数字が増減するのを見て、「俺は投資の才能がある」なんて勘違いしちゃいないか?
今回は、退職金という人生最後の命綱を、わけのわからない「電子ゴミ(草コイン)」に変えてしまった男の話だ。
お前らが大好きな「他人の不幸」だが、笑っていられるのも今のうちだぞ。
これは「明日の朝、お前の食卓で起きる現実」かもしれないんだからな。
第1章 「NISAは情弱」と嗤う"自称・投資家"
轟 健介(仮名・58歳)。大手メーカーの営業部長。
早期退職優遇制度に応募し、割増退職金2500万円を手にしたばかりの「小金持ち」だ。
こいつの口癖は「Web3(ウェブスリー)」。
部下の若手が話していたのを盗み聞きし、知ったかぶりでマウントを取るのが日課だ。
「おいおい、まだ積立NISAなんてやってるのか? 情弱だなぁ。これからは円安だぞ? デジタルゴールドを持たなきゃ」
銀行の窓口で定期預金を勧められた際も、「ゴミみたいな金利だ」と担当者を鼻で笑って追い返したらしい。
その自信の根拠は、X(旧Twitter)で見つけた「顔も出さない自称億り人」のインフルエンサーだ。
「このコインは100倍になる。今が仕込み時」
そんな怪しい煽り文句を真に受け、轟は退職金のほぼ全額を、聞いたこともないマイナーなアルトコイン(草コイン)に突っ込んだ。
しかも、レバレッジをかけてな。
ビギナーズラックで数百万の含み益が出た時、こいつは自分が「ウォーレン・バフェット」にでもなった気でいたんだろう。
バブル期の「ジュリアナ東京」で扇子を振っていた頃の全能感が蘇ったのかもしれん。
だが、相場の神様ってのは、そういう勘違い野郎が大好物なんだよ。
本来は「次世代の分散型インターネット」を指す技術用語。
だが、知識のない中高年にとっては「退職金を毟り取るための、詐欺師たちの魔法の呪文」と同義語。 「時代に乗り遅れますよ」と囁かれたら、それは死神の呼び声だと思え。
第2章 深夜3時、冷蔵庫の音と脂汗
異変は、家族が寝静まった深夜に起きた。
米国市場の動向を受け、轟が保有する草コインが暴落を開始した。
「な、なんだこれは…バグか?」
スマホの画面を見る轟の手が震える。
含み益は一瞬で消し飛び、マイナスが膨らんでいく。
ここで損切りすれば、まだ傷は浅い。
だが、プライドの高い「自称・情報通」にそんな決断ができるわけがない。
「ガチホ(長期保有)だ…いや、押し目買いのチャンスだ!」
インフルエンサーの「狼狽売りするな!買い増せ!」という無責任なポストを信じ、轟は禁断の一手を打つ。
ナンピン買い(買い増し)だ。
証拠金維持率が危険水域に達するたび、銀行口座から追加入金する。
自分用の貯金が尽きると、次は「子供の結婚資金」として妻と貯めていた定期預金を解約し、ブチ込んだ。
「戻ればすぐに返せばいい。俺は間違っていない」
深夜のリビング。
聞こえるのは、冷蔵庫の「ブーン」という重低音と、自分の荒い息遣いだけ。
脇の下を冷たい汗が伝い、口の中には鉄のような血の味が広がる。
チャートは反発することなく、ナイアガラの滝のように垂直落下していく。
画面の中の赤いローソク足が、轟の寿命を削り取っていくようだ。
もう、引き返せない。
翌朝。
トイレから戻った轟がスマホを見ると、そこには見たことのない通知が表示されていた。
【強制決済のお知らせ】
「あ……あぁ……」
声にならない呻き声が漏れる。
退職金2500万円、そして子供の結婚資金300万円。
すべてが、電子の海に溶けて消えた。
残ったのは、口座残高「3,480円」の表示だけ。
股間が熱くなるのを感じた。
58歳にして、恐怖のあまり失禁していたのだ。
「あなた、ちょっといいかしら」
背後から、氷点下の声が響く。
振り返ると、妻が仁王立ちしていた。
その手には、通帳と印鑑。
「通帳の残高、見たわよ。……説明してくれる?」
妻の目は怒りを超え、汚物を見るような冷徹な光を宿していた。
言い訳をしようと口を開いたが、言葉が出てこない。
ただ、濡れたパジャマのズボンが、情けなく張り付くだけだった。
SHINZOUの深掘り分析
いいか、よく聞け。
この話はフィクションだが、似たような事例は山ほどある。
轟の敗因は、「自分の理解できないものに、生活防衛資金まで突っ込んだ」ことだ。
仮想通貨(暗号資産)そのものが悪だとは言わん。
だが、退職金のような「老後の命綱」で、しかもレバレッジをかけてやるもんじゃない。
それは投資じゃなくて、パチンコ屋で全財産賭けるのと同じ「投機(ギャンブル)」だ。
そして一番の罪は、家族への背信行為だ。
妻は夫の失敗を許さないんじゃない。
「俺に任せろ」と嘘をつき、共有財産を勝手に溶かした「誠意のなさ」に絶望して離婚するんだ。
熟年離婚されたら、お前みたいな家事能力ゼロの男は、汚部屋でカップ麺を啜りながら孤独死するのがオチだぞ。
悪いことは言わん。
退職金が入ったら、まずは借金の返済。
残りは「国債」や「インデックスファンド」でガチガチに守れ。
夢を見るな。現実を見ろ。
お前はウォーレン・バフェットじゃない。
ただの「カモられる側のおっさん」なんだよ。
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👤 この記事を書いた人
SHINZOU(しんぞう)
不動産業・便利業ブロガー。
投資歴35年。金融・不動産の国家資格に加え、建物(電気・給水)から庭、船舶まで知り尽くした「暮らしと資産のスペシャリスト」として、きれいごと抜きの現実を発信する。
※本記事は、実際の事例や掲示板の投稿を参考にしたケーススタディ(フィクション)であり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。 ※暗号資産(仮想通貨)は価格変動が激しく、元本を割り込むリスクがあります。投資判断は自己責任で行ってください。

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